慈眼寺の香りと音

 お寺の美しい仏像やお堂、整備されたお参りの空間は、視覚にうったえて私たちの意識を転換させるものですが、視覚以外で、五感に働きかけて気持ちを転換させるものとして、慈眼寺では「香り」と「音」にこだわってプロデュースしていきたいと考えています。

*慈眼寺のお線香

 平成20年代前半頃だったでしょうか、突然お線香に興味が湧いてきまして、ネットで次々とお線香を取り寄せて焚き比べなどする日々が続きました。結果、お線香に詳しくなりましたお陰で、平成27年より毎月27日に「聞香と瞑想の会」(現在は「音霊瞑想会」)を主催することに繋がりました。

 その後、有名な観光寺院に、お寺の名前を冠したお線香があるのを見て、慈眼寺にも、慈眼寺ならではのお線香を作りたいと決意し、お線香の選定に入りました。色々迷いましたが、以前から慈眼寺にお線香類の調達をお願いしていた上信堂さまのお線香を使わせていただくこととなりました。

 写真左側が、観音堂で常にこれだけを焚くお線香で、千手観音にかけて「千授香」という名前を付けさせていただきました。香りは、沈香の落ち着いた香りをベースにしながらも、華やかな香りに仕上げられていて、パッケージも華やかなものにしました。お檀家様には新盆の申込時に差し上げておりますが、一般の方も、観音境内の札所か本堂左手の寺務所にて1500円で購入できます。

 写真右は、本堂で常に焚いているお線香で、本堂のご本尊である大日如来の純粋な光をイメージして、混じり気の少ない純粋な白檀の香りに近い香りのお線香を選び、「名香 光海」と名付けました。こちらは本堂左手の寺務所にて1500円で購入できます。

*慈眼寺の音

~~香りから音へ~~

 慈眼寺のオリジナル線香の選定が完了したことで、住職の心の中に、ある種「やりきった感」が生じ、その後は徐々にお線香への興味が薄れて行きました。そのことにより、毎月27日の「聞香と瞑想の会」のやり方に変化が生じていくことになります。

 当初「聞香と瞑想の会」は、毎月必ず、住職が所有する沢山のお線香の中から一つを選び、会の冒頭にそのお線香を焚いて、参加者の皆さんに香りを感じていただきながら、瞑想を誘導していく、というやり方をしていました。

 それがある時から誘導瞑想をしなくなり、代わりに、住職が楽器を演奏し歌を歌うようになり、その音なり音楽なりを聞いていただくことが、会の主な内容となりました。そこで、令和5年1月より、会の名前を「音霊(おとだま)瞑想会」とすることにしました。

 これにはちゃんと理由がありまして、実は住職自身、瞑想が苦手なタイプのようで、瞑想するというやり方によって意識の深いところへ入っていくのが難しい、ということがあり、それは、瞑想に不慣れな一般の方であれば、なおさらそういう方が多いと思うのです。しかし、一般的に人は、インパクトのある音を聞くと、その瞬間、意識が切り替わるということが起こりますよね。これって瞑想効果だと思うのです。

 なのでつまり、みんなに頑張って瞑想していただくより、音の波動を聞かせちゃった方が、瞑想効果が高いのではないか、という、これは後付けの理由ではあるのですが、理に適っているということが言えるのです。誰もが、楽なやり方で、瞑想効果が得られる、「音霊瞑想会」はこれからそんな会になっていくと思っています。

*声で作る音空間

 この慈眼寺は、檀家寺として年間数十件ものご葬儀と、それに伴う法事、その他の行事があり、そのほとんどを住職一人で行っております。その実践の場において、自分一人の声だけで、その場の音空間を演出しなくてはならない、ということが、住職の声を鍛え育ててくれたということが言えます。

 そして今では、自分の声そのもの、自分の出す音そのものに魂を癒やすパワーがあると信じるに至りました。これから、仏教儀式におけるお経に限らず、幅広く、声や音を使った活動をしていきたいと考えています。

 そんな住職こだわりの音を集めたYouTubeチャンネルがこちらです。よろしかったら一度聞いてみて下さいね。